一般社団法人大分青年会議所

2026年度 理事長

甲斐大啓

はじめに

 1953年、日本で46番目の青年会議所として立ち上がった大分青年会議所は、「明るい豊かな社会」の実現を志し、70年以上にわたりこのまちと共に歩んできた。その歩みは、地域の声に真摯に耳を傾け、時代の変化に果敢に挑み、幾多の困難に直面しながらも、熱き想いと行動によって未来を切り拓いてきた先人たちの挑戦の軌跡にほかならない。まちの発展と市民の幸せを見据えた先達の想いは、幾度となく地域に寄り添い、多くの人々に気づきと希望を与えてきた。  今、私たちが直面する社会は、少子高齢化、地域経済の停滞、人口流出、国際社会との調和など、複雑かつ多層的な課題に覆われている。これらの課題は相互に絡み合い、単一の解決策では立ち向かうことができない時代に突入している。一方で、それぞれの課題の奥には“変化の兆し”が潜んでおり、そこに私たちが果たすべき新たな役割が見えてくる。青年会議所は今、その存在意義を問い直す岐路に立たされている。  このような時代にあって、私たちが最初に取り組むべきは、あらゆる挑戦を支えるための「土台」を確かなものとすることである。組織の運営体制を見直し、透明性と柔軟性を兼ね備えた基盤を築くことが、すべての活動の根幹となる。内部から変革を起こし、全会員が安心して挑戦できる環境を整えることが、これからの青年会議所の信頼と影響力を形づくる第一歩となる。これは共に支え合う文化と信頼のネットワークを構築することであり、「地域を支える基盤として」の使命そのものである。  また、未来のまちを担うのは、これからの時代を生きる私たち自身であり、私たちの後に続く次世代である。だからこそ、自らの可能性に挑戦し、他者と協働し、課題に立ち向かう力を育む「人財育成」が不可欠となる。新たな仲間を迎え入れ、成長を支え、志を共にする中で、地域を動かす原動力が生まれていく。こうした挑戦の中でこそ、真に信頼されるリーダーが育ち、持続可能な組織の姿が見えてくる。会員一人ひとりが自らの成長を実感しながら、まちの未来に貢献できる環境を整えることが、「挑戦を通じた人財育成」の根幹である。  そして、いま地域社会に求められているのは、立場や所属を超えて共に知恵を出し合い、協力して課題を解決していく「共創の力」である。行政、企業、市民、若者、そして子どもたちといった多様な主体と手を取り合い、まちの課題を“自分ごと”としてとらえる人を一人でも多く増やしていくことが、これからの地域づくりにおいて最も重要である。青年会議所はその触媒となり、まちに新たな可能性と対話の輪を広げていくべきである。これこそが「共創で築く地域の未来」につながる道である。  さらに、地域の未来を育むためには、地域に根差した価値観と学びを次世代へと継承する「郷育」の視点が必要である。地域に生きる子どもたちがまちの魅力を肌で感じ、愛着と誇りをもって未来を描けるような環境づくりは、今を生きる大人たちの責任である。  2026年には、大分で8年ぶりとなるブロック大会を主管するという大きな機会を迎える。この大会を通じて、郷育の理念をまち全体に広め、次なる世代と共に歩む覚悟を改めて確認することが、私たちの使命であり、「郷育の実現と共生社会」の出発点となる。  70年の歴史を歩んできた私たちは、今ふたたび、地域のためになにができるのかを問われている。過去の延長線上ではなく、新たな価値と意味を創造する覚悟をもって、まちの未来を見つめなければならない。その挑戦の先にこそ、青年会議所の真価が問われる時代が待っている。

地域を支える基盤として

 まちの活力を生み出す運動の根幹には、安定した組織基盤と確かな運営体制が必要である。青年会議所の活動が継続的かつ効果的に行われるためには、運営機能の充実と組織全体の透明性を確保しなければならない。特に2026年度は、大分ブロック大会を主管するという大きな責務を担う年でもあり、円滑な運営体制の確立は活動全体の土台とならなければならない。  運営の役割は、単なる管理や手続きの遂行にとどまらず、組織全体の進捗を俯瞰し、問題を未然に防ぎ、的確な情報発信と調整によって、会員が本質的な活動に集中できるよう導く、まさに羅針盤のような存在である。  組織内外における連携・連動の強化や事業の質の向上といった観点からも、運営の果たすべき責任は年々大きくなっている。限られた資源の中で最大の成果を引き出すために、今一度内部体制を見直し、効果的かつ柔軟な組織運営を実践していかなければならない。  加えて、組織運営の透明性を高めることは、会員の信頼と協力を得るためにも不可欠である。議案や各種資料の管理、予算の在り方を見直し、誰もが適切なタイミングで正確な情報を把握できる環境を整える必要があり、情報共有の手段も時代に即した方法にし、効率性と柔軟性を備えた運営を追求していかなければならない。これにより、会員の納得感と責任感が高まり、組織全体としての一体感と推進力が強化されていく。  運営は、各委員会が最大限のパフォーマンスを発揮できるよう、柔軟かつ迅速なサポート体制を整備することが求められる。各委員会の目的やスケジュールを正確に把握し、必要なリソースや情報をタイムリーに提供することで、事業の質の向上とスムーズな実行が実現される。特に複数の委員会が連動する大型事業においては、全体を俯瞰した調整機能が不可欠である。2026年度は、単なる裏方ではなく、地域全体を巻き込む運動を支える“推進力”としての自覚を持ち、その使命を全うしていかなければならない。

挑戦を通じた人財育成

 現代社会では、変化が常態化し、これまでの正解が通用しなくなりつつある。そんな時代に必要とされるのは、「自ら課題を発見し、行動し、他者と協働して成果を打ち出せる人財」であり、まさにそれこそが青年会議所が育成すべきリーダー像である。このまちの未来を創る人財を育てるためにも、挑戦を通じた人財育成を一層強化していく必要がある。  拡大は、組織の持続可能性と多様性を確保するための基盤であり、単に会員数を増やすことではなく、志を共有できる仲間を迎え入れることに本質がある。そのためには、地域の課題に関心を持ち、自らの想いをまちづくりに活かしたいと願う人々を発掘し、その想いをすくい上げる姿勢が求められる。  拡大運動を推進する上で重要なのが、先輩諸兄姉とのつながりである。地域に根ざし、歩みを重ねてきた先達の想いや経験は、青年会議所の価値を次世代へ伝える上で、かけがえのない力となる。その語る姿勢や歴史に裏打ちされた言葉は、新たな仲間にとっての信頼の拠り所となり、拡大における説得力と厚みをもたらし、学びや価値の共有が進み、組織としての一体感と成熟を育むことにもつながる。  青年会議所の拡大は、志ある人財との出会いの積み重ねであり、先達から学び、想いを継承しながら、次の時代を担う仲間を迎え入れていく営みである。  また、新入会員に対しては、入会後のフォロー体制を充実させ、青年会議所の理念や文化への定着を図る必要がある。それぞれの強みや専門性が活かされる機会を設け、やりがいを感じながら活躍できる環境を整えることが、組織全体の成長にも直結する。ここでも、スポンサーとなる先輩会員との関わりが重要であり、経験から得られる実践的な学びや助言は、新入会員の成長を大きく後押しするだろう。  育成においては、会員一人ひとりが自らの可能性に挑戦できる場を提供し、実践の中で失敗と成功を重ねながら、着実に力をつけることのできる環境を整えていかなければならない。とりわけ若手会員には、企画や運営に積極的に関われるような仕組みを用意し、行動を通じてリーダーシップを養う機会を数多く提供することが必要である。  人財育成は青年会議所の根幹を成す使命である。多様なバックグラウンドを持つ会員が、それぞれの視点や経験を持ち寄りながら、新たな価値を創出できる組織でなければならない。そのためにも、異なる意見を尊重し、対話を重ねながら共に進む力を育む必要がある。継続的な対話の場を設け、リーダーとしての成長と組織としての進化を両立させることで、青年会議所の存在価値をより高めていくことができる。  人財交流の側面では、七夕まつり事業を地域との接点として活用し、行政や他団体、市民との協働を通して持続的なパートナーシップを築いていかなければならない。市民と共に汗をかき、共に笑い、共にまちの誇りを分かち合う中で、青年会議所の存在意義を地域に示し、組織の信頼を高めていくことが不可欠である。七夕まつりを単なる地域イベントとせず、地域との関係を深める“学びと実践”の場と位置づけ、組織の成長と市民理解の両面から最大限に活用していく必要がある。  本年の七夕まつりは、関係団体との絆を、さらに深めていく絶好の機会でもある。これまで積み重ねられてきた友情と信頼の関係を、地域に根ざした運動の中でより確かなものとし、多様な価値が交差するまちづくりの姿勢を体現していく必要がある。  地域の伝統行事に、これまで以上に他との連携という視点を加えることで、新たな気づきや学びが生まれ、まつり自体が成長していく可能性が広がる。交流を通じて、地域と地域、人と人が交わり合い、まちの未来に新しい彩りを添えていく、そのような七夕まつりの進化を志向していきたい。  このような新たな視点と地域の文化を融合させる取り組みは、まちの活性化にとっても大きな推進力となり、地域住民にとっても新たな誇りと刺激を提供するだろう。  七夕まつりは地域住民にとって親しみのある伝統行事でありながら、今後は地域と青年会議所が協働して“次世代のまつり文化”を創出していく起点とすべきである。地域に根ざしつつも、新たな価値を加えたまつりの姿を模索し、市民の参加意識や誇りを高めていかなければならない。また、準備・運営の過程においても多くの若手会員が関わることで、実践を通じた学びと繋がりが育まれる場となる。このまつりを通して育まれるパートナーシップこそが、今後のまちづくりの基盤となっていくはずである。そしてその先には、さらなる他団体との協働や、連携へと発展する可能性も見据えていく必要がある。

共創で築く地域の未来

 地域社会が抱える課題は年々複雑化しており、ひとつの組織だけでそのすべてを解決することは困難である。だからこそ、私たちは多様な主体と手を取り合い、地域の持つ力を最大限に引き出す“共創”の姿勢を基軸に据えなければならない。青年会議所の存在意義は、自らがリーダーシップを発揮するだけでなく、多様な人々と対話し、知恵を持ち寄り、課題の解決に向けた“協働の輪”を拡げていくことにある。  これまで継続して関わった多くの事業は、まさに共創の実践の場である。地元で活躍する方や学生が活躍する舞台を通じて、地域に根ざした文化の振興と、若者の活躍の場を提供する役割を果たしている。事業を通じて、参加者同士が自然と交流し、地域への愛着や誇りが芽生える機会となる。  また、若者への機会の提供としては、地域住民や教育機関、民間事業者、観光団体など多様な主体が関わっており、こうした連携を強化することで、地域全体を巻き込んだ文化的取り組みとしてさらなる進化を目指す必要がある。単なるイベントにとどまらず、地域の魅力を内外に発信し、地域資源の融合を維持促進していくことが重要である。  一方、地域課題の共有と異分野間の対話によって、解決に向けた具体的なアプローチを共に模索することが求められる。業種や立場を超えたフラットな関係性を構築し、多様な視点を掛け合わせることで、新たな可能性が開かれる。  こうした事業を通じて「地域を自分ごととして捉える人」を一人でも多く育てていかなければならない。市民がまちの課題に主体的に関わることは、地域全体の活力の源であり、青年会議所はその触媒として、関係性を編み直す役割を担っていく。  さらに、共創の輪を未来へと繋げていくためには、子どもたちの育成にも注力する必要がある。次世代を担う若者が地域への誇りと愛着を育み、未来の創造に主体的に関われるような体験機会の創出が重要である。子ども育成事業では、子どもたち自身が自分ごととして関わることで、自律性や協働性を育む場となっている。自らの手で行うことにより、実社会で役立つ実践的なスキルを習得することができる。地域の企業や保護者と連携し、子どもたちが地域社会の一員として迎えられる環境を整えることが、地域参画意識の育成につながる。  青年会議所は、こうした取り組みを継続的に展開し、地域の未来を担う人財を育てていかなければならない。教育的・社会的意義を持つ事業として、行政や学校との連携も深め、まち全体で子どもたちの成長を支える仕組みづくりを進めていく必要がある。  地域の未来は、誰かが用意してくれるものではない。私たち自身が一歩を踏み出し、他者と手を携え、共に描き、共に築いていくものである。青年会議所は、その一歩を後押しし、地域に関わるすべての人々と共に“まちの未来図”を創り続けていく存在でありたい。

郷育の実現と共生社会

 子どもたちがまちをどう見ているか。それは、私たち大人がこのまちにどれだけ希望を持っているかを映す鏡でもある。郷育とは、まちの魅力を伝えることと同時に、未来への信頼を育むことでもある。地域のまつり、自然、歴史、文化、そしてそこに暮らす人、そうした“故郷の景色”を、次代を担う子どもたちにしっかりと手渡していく必要がある。  そのために、私たちは一過性の体験だけでなく、地域における学びと関わりの継続性を意識しなければならない。家庭・学校・地域、それぞれが役割を持ち、子どもたちの成長に関わる土壌を耕していくことが求められる。今後さらに多様化する地域社会において、文化や言語、習慣の違いを「壁」とするのではなく、「財産」と捉える視点を、子どもたちと共に持つことが重要になる。  その一歩として、大分に住まう多くの人々の自然なふれあいの場を創出し、多様性と地域性を同時に学べる機会を整えていきたい。多様性の尊重は、未来の共生社会の基盤となる。また、2026年度に私たち大分青年会議所が8年ぶりに主管する「大分ブロック大会」は、まさに郷育を実践するための絶好の舞台である。  この大会は、地域の未来を担う子どもたちにとって、まちの魅力に触れ、郷土への誇りと愛着を育む機会となるべきである。同時に、私たち大人もまた、子どもたちと共にまちを見つめ直し、学び合う姿勢を持つことが求められている。郷育とは、世代を越えてまちを共有し、共に成長していく営みであり、この大会がその歩みを進めるきっかけとなることが期待される。  加えて、2027年には全国大会おおいた大会開催から5周年の節目を迎える。過去を振り返ると共に、次代を担う子どもたちがまちに誇りと希望を持ち続けられるよう、継続的な取り組みの構築が必要である。この記念の年を見据えた取り組みも、郷育という観点から大切に設計していかなければならない。  郷育とは、決して特別なことをするわけではない。地域の行事に参加し、地域の大人が地域の未来を語る姿を見せること、それ自体が子どもたちへのなによりのメッセージとなる。だからこそ、私たち青年会議所が率先して地域との関わりを深め、子どもたちと“まちの未来”を共有する姿勢を行動で示す必要がある。  青年会議所の本質は「行動する団体」であること。どんなに言葉を尽くしても、行動で伝わるものには敵わない。地域に生きるすべての世代が、互いを認め合い、共に未来を描く。その社会のモデルを、まずは私たち自身が体現していく一年にしていかなければならない。

さいごに

少しだけ、想像してほしい。 5年後、10年後のこのまちがどうなっているかを。 そしてその未来を形づくるのが、自分自身であるとしたら。なにをしていたいですか? 青年会議所の活動は、ときに忙しく、正解が見えないこともある。 でも、その一つひとつの積み重ねが、仲間の背中を押し、誰かの人生を変え、まちの空気を動かしている。 私はそう信じている。 いま、世界はめまぐるしく変わっている。 けれど、大切なのはどこにいるかではなく、なにを想い、どう動かすか。 大分というこのまちからでも、いや、大分だからこそ、世界とつながることができる。 私たちの視野が広がれば、まちの可能性も広がっていくはずだ。 新たな挑戦に不安もあるかもしれない。 でも、それはきっと新しい出会いや学びの入り口。 そこに、次代を拓くヒントがある。 私たちには、想いを同じくする仲間がここにいて、手を取り合い前に進める環境がある。 それだけで、もう十分に「挑戦する理由」になる。 未来は、いつだって「今の延長線上」にある。 だからこそ、今をどう生きるかが、未来をどう創るかに直結する。 共に育つ、まちの未来へ。 2026年、紡がれた誇りを胸に、今を力強く歩もう。

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