一般社団法人大分青年会議所

2024年度 理事長

平倉 賢明

はじめに

大分青年会議所は本年度、創立71年目を迎えた。創立当時の1953年6月、九州地方は未曾有の豪雨によって大水害が発生した。中でも九州北部は100万人を超える被災者を出す甚大な被害をもたらした。そのような中、災害ボランティアとして自ら、北九州青年会議所を始めとする多くの各地青年会議所メンバーが復興支援活動を行う姿に感銘を受けた30名の志高い青年が立ちあがり、日本で46番目となる大分別府青年会議所が誕生した。
 それ以降、先輩諸氏は長きに亘り修練・奉仕・友情の三信条のもと、故郷おおいたに即した社会情勢や地域課題の解決に向けた運動を展開し、地域社会を先導してきた。
 その進取の精神は、故郷おおいたに豊かな変化をもたらし、多くの人々の「明るく豊かな社会の実現」に寄与してきた。  2020年、世界中をパンデミックが襲った。これまでの当たり前が覆され、我々はニューノーマルな生活を与儀なくされた。青年会議所活動も例外なく大きな影響を受け、活動制限や自粛、変更を行いながら手探りで活動を続けた。そんな厳しい社会情勢の中、「我々にできることは何なのか」を模索し続け、「我々にしかできないこと」を追究し続けてきた。
 2022年は大分青年会議所のみならず、大分ブロック協議会悲願の会頭輩出、第71回全国大会おおいた大会の主管、2023年は創立70周年という大きな挑戦を立て続けにやり遂げた我々は一人の人間として、そして組織として大きく成長することができた。その経験と知識を故郷おおいたに還元することで地域の社会課題解決に導くことができるはずだ。 家族のため、会社のため、そして故郷おおいたの未来のため、我々は青年会議所活動を行っている。大きな挑戦を成し遂げた大分青年会議所メンバーだからこそ、同じベクトルで活動することができる。同じ志で活動できるメンバーが多ければ多いほど、その運動は何倍にも大きく波及させることができる。そして、先輩諸氏から脈々と受け継がれてきた精神を引き継ぎ、次の一歩を踏み出すべく、以下を基本方針として展開する。

柔軟な対応で自走できる組織運営

  青年会議所は単年度制であるため、毎年様々な運営方法を取り入れることができる。今年度は組織運営の最大限の効率化を目指し運営していく。
 我々が故郷おおいたのため、社会課題解決のために活動するには時間が必要である。しかし、時間は有限であり、一人ひとりが青年会議所活動に割ける時間も人それぞれ違う。
 限られた時間を有効に活用するためには円滑な組織運営と建設的な会議運営が必要であり、組織運営の効率化は青年会議所活動の根幹を支える組織力を高めるだけでなく、運動の質や影響力を向上させてくれる。また、全ての運動には事前準備が必要であり、限られた時間の中で建設的な会議運営を行うことで運動を最大化できる新たな手法を取り入れ、何事にも柔軟で迅速に対応できる組織に成長することができる。
 大分県のみならず九州では近年、毎年のように災害が起こっている。これまで学んだ知識を活かし、防災・減災に努めよう。また、いつどこで発災するかわからない災害に対し、青年会議所のネットワークを駆使した防災体制を構築しよう。
 青年会議所には様々な各地大会が用意されている。各地大会はそれぞれ重要な役割を持ち、参加者に成長と発展の機会を提供してくれる。今年度も多くの大会にメンバーを巻き込み、参加していきたい。メンバーを巻き込むためには横の連繋をさらに強化し、迅速な情報収集と情報共有が必要である。
 また、今年度も大分青年会議所を代表して多くの出向者を各地へ輩出する。出向先では新たな気付きや学びを得られ、出向者を大きく成長させてくれる。その成長と学びがLOMへと還元されることで、より大きなムーブメントを起こせる組織へ成長できる。出向者が出向先で持てる力を思う存分発揮できるよう、LOMが寄り添い、安心して出向できる出向者支援体制の構築を全力で行う。

人財発掘と会員相互の共感

  青年会議所は40歳になったら卒業を迎える。常に新しい風を呼び込み、青年の知恵と行動力で組織を運営するためだ。常に循環する組織だからこそ、会員拡大は青年会議所にとって重要なミッションのひとつである。我々の運動に共感した多くの青年を巻き込むことでその運動の波は大きく波及する。会員の増加はただ単に運動を大きくするだけでなく、多種多様な価値観や多様性を取り入れ、運動の質の向上にも繋がる。会員拡大はLOMの5年後、10年後の未来に直結する重要な活動である。メンバー全員が当事者意識を持ち、会員拡大の重要性を認識することで会員相互の結束力が強まり、より大きな拡大の輪を構築できる。新しい仕組みやアイデアを取り入れながら会員一丸となって会員拡大を行っていこう。  2020年、新型コロナウイルスの蔓延により、活動制限や自粛、中止を余儀なくされてきた青年会議所活動も2023年5月、新型コロナウイルスの5類移行により活動の制限が解除された。そのような中、アカデミーと言われる入会3年未満の会員は6割を超え、新型コロナウイルス蔓延以前の青年会議所活動を知らない会員も少なくない。制限が解除された今こそ青年会議所の魅力とは何か、会員へ発信する絶好の機会である。会員交流は人と人の繋がりを創出するだけでなく、友情を育んでくれる。その友情は広く伝播し、大きな輪となり組織全体の結束力を高めてくれる。結束力の高まった組織は活気に溢れ、率先して行動できるメンバーが増えることで、自ら行動できる組織へ成長することができる。

故郷おおいたを想い故郷おおいたの活性化

  大分七夕まつりは大分市最大のまつりであり、42回目の開催となる本年、市民に青年会議所の活動を周知する絶好の機会だ。大分青年会議所は永きに亘り、大分市が主催する大分七夕まつりの2日目のフィナーレを担ってきた。先輩諸氏は時代の流れに応じJCみこし、あかねこ隊、七夕ブロードウェイと様々に形を変え、市民を巻き込むまつりの構築を行ってきた。2022年、第71回全国大会おおいた大会を大成功に導いた我々だからこそ構築できる新たなまつりの形があるはずだ。「故きを温めて新しきを知る」ということわざがある。先輩諸氏のまつりに懸けた想い、伝統を胸に、脈々と受け継いだ熱い思いと歴史を継承し、今年度も大分市民に笑顔と感動を届けよう。  大分青年会議所には「おおいた活性化ネットワーク」という継続事業がある。他の青年会議所や他団体には無い、大分青年会議所独自のルートを活かし、本年度14年目となる「おおいた活性化ネットワーク」をより活発に展開する。学生の柔軟な発想から見える故郷おおいたの社会課題は我々青年会議所メンバーにはない気付きや発見をもたらし、学生の新鮮なアイデアは我々にも発展と成長の機会を提供してくれる。故郷を想う10代・20代の若者がより「明るい豊かな社会の実現」に向け、どのように運動を起こしていけば良いか、学生と協働して考えていこう。青年会議所の活動を次代に繋ぐため、故郷おおいたの社会課題解決のため、これまでの活動や経験を活かし、現代のニーズに合った事業の構築をしよう。

希望溢れる故郷の未来へ

  大分青年会議所は2022年、第71回全国大会おおいた大会開催の際、中長期ビジョンの策定を行った。故郷おおいたの未来を思い描き、ビジョンの実現に向かって活動を行っている。近年、我々を取り巻く社会情勢は刻一刻と変化し、その変化にタイムリーに対応する柔軟な発想が必要である。その都度、ビジョンのアップデートを行い、時代に即したビジョンの策定を行うことで未来の故郷おおいたの姿を明確に思い描き、率先して行動することができる。全国大会の開催に際し、大分青年会議所は行政・他団体・地域との大きな繋がりをさらに強化した。そのパイプを活かさない手はない。社会情勢の変化を敏感に察知し、時代のニーズを先取りすることで大分青年会議所にしかできないフェスティバルを構築しよう。  将来の夢を持つことは子どもたちの権利であり、将来何にでもなれる可能性を持っている。その子どもたちが自分の将来について明るい希望を持てる環境を作るためにどうすれば良いか。少子高齢化、人口減少が顕著な現代において、子どもと接する時間は減少し、夫婦共働き、地域コミュニティの減少はその速度をさらに加速させている。子どもたちは親、親戚、大人の背中を見て育つ。我々は青年会議所メンバーとして、一子育て世代の親として、その背中を見せていかなければならない。実体験はよりリアルなビジョンをもたらしてくれる。実体験を通じ、子どもたちの社会性や感受性を養い、視野を広げることで自己肯定感を高めることができる。次代を担う、豊かな心を育んだ子どもたちを育成しよう。

次代へ繋ぐアカデミーの育成

  2019年、会員の平均在籍年数が7.5年だったのに対し、現在では4.2年と大幅に短くなっている。大分青年会議所も例外ではなく、その波が押し寄せている。また、アカデミーと言われる入会3年未満の会員は6割を超えた。これは社会情勢の変化とそれを取り巻く環境の変化が大きな要因といえる。在籍年数が短くなった今、組織運営の本質や、青年会議所でのリーダーシップをいかに次代へ繋ぐかが大きな課題である。新入会員に青年会議所とはなにかを知ってもらい、メンバーが共に活動する楽しさ、達成感、喜びを共有し、出会いと学びの機会を提供することが必要だ。誰一人取り残さず、青年会議所に在籍する喜びを感じてもらえる仕組みを作り上げよう。

さいごに

2015年、私は大分青年会議所の門戸を叩いた 当時は右も左もわからず、ただ先輩に連れられ青年会議所に参加していた その年の卒業式、ある先輩が涙を流しながら卒業生答辞を読んでいた 40歳になった大人の男が言葉にならないくらい泣きながら答辞を読む姿を見て衝撃を受けた これまでかっこいい背中を見せてくれていた先輩があんなにも男泣きをするこの団体にはどんな魅力があるのか なぜこんなにもみんな一生懸命にJCをやってるのか、あの先輩は卒業式の壇上でどんな景色が見えているんだろうと興味を持った それから理事を受け、故郷おおいたの社会課題解決に向き合ってきた 時には理不尽なことを突き付けられ、心が折れそうになったこともある そんな時、支えてくれた家族、会社、JCの先輩、仲間のおかげで今がある 誰もが誰かを支え、誰かに支えられ生きている 私たちは青年会議所メンバーだ お互いを尊重し、助け合える同志が集っている さあ、次のステージの扉を開こうNext Step 未来の一歩を踏み出そう

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