一般社団法人大分青年会議所

2022年度 理事長

姫野 靖之

はじめに

 アメリカ・ミズーリ州セントルイスの青年が「この社会で真に活躍すべきなのは青年である」との想いを掲げ、国際青年会議所(JCI)の前身となる小さなミーティングをスタートさせたのは1900年代の初頭、今から100年以上も前のことでした。やがてこの小さな活動は世界へと広がり、1949年、第二次世界大戦後の誰もがやりきれない国 内情勢にありながら、その復興をはじめとする「より良い社会の実現は我々の仕事である」と使命感を燃やした青年たちの手によって日本青年会議所(以下、JCI日本)が設立されました。私たちの故郷おおいたでは、JCI日本の設立から4年後の1953年、日本で46番目となる大分別府青年会議所が設立され、以来68年間に渡り千変万化の社会情 勢と向き合って参りました。  2053年には日本の人口は1億人を切ると予想されるほど少子高齢化のあおりが深刻化する中、大都市圏と地方における経済格差の拡大は若い世代の地方離れを加速させ、地域経済の根幹を揺るがす悪循環はさらに連鎖していく様相を呈しています。大分青年会議所(以下、JCI大分)が拠点を置く大分市においては、人口の4人に1人が65歳以上の高齢者になろうとしており、本格化する超高齢化への適応力や人口減少社会への歯止め が地方創生の鍵となっています。まちづくり、ひとづくり、観光や産業の充実、子育て支援、防災ネットワークなど、様々なニーズに応じた施策を次々と実行していかなければな らない状況下にありながら、強烈な向かい風となった新型コロナパンデミック、さらに豪雨などの自然災害にも見舞われ、限られた資源、限られた環境下ですべての課題に立ち向 かわなければならない、もはや待ったなしの現実が眼前に広がっています。  こうした背景に伴い、大分市では防災や子育て支援といった「安心・笑顔の創造」、経済・産業力の充実を図る「活力の創造」、そして、2015年に全面改装を終えた大分駅 から中心市街地までを巻き込んだ再開発と、交通ネットワークやインフラの整備など都市 基盤の充実までを見据えた「魅力の創造」という3つの創造を軸に『未来創造都市計画』 が進行しています。JCの使命は「社会により良い変化をもたらすため、青年に発展と成長の機会を提供すること」です。JCにおける「人数」や「LOM」といった概念は、社会を巻き込み「運動」を起こすための装置となり得ます。私たちは、自己の成長と組織の 持つあらゆるネットワークを駆使することで、周囲を巻き込み、社会により良い変化を与える仕組みとならなければなりません。また、JCには「青年」であるという根本的な強みもあります。これはひとえに年齢による特性を指しますが、超高齢化世代の親を持ちな がら子どもたちの未来を背負う世代だからこそ、私たちにしかできないことが必ずあります。故郷おおいたが見据える未来創造都市の実現に向け、JCI大分は地域課題の解決に貢献します。  また、2022年度はJCI大分の存在意義が大きく試される年でもあります。全国大会を主管し、JCI日本の会頭を輩出するLOMがどのような一年を全うするのか、全国中のメンバーが見守っています。自らの発展と成長、そして社会により良い変化をもたらすため、このチャンスをどう活かすかは私たち次第です。真に必要とされる活動の方向性を持続可能なビジョンとして見出し、志を同じくする会員同士の連携を以て、社会に浸透 させることを目的とした運動の展開を図って参ります。

1.組織室 ダイバーシティ組織の実現

 2021年度、JCI大分には様々な環境にて活躍する新たな仲間が多く入会しました。業種、性別、立場、生活環境の違いは必然的にあらゆるギャップを生じさせるため、これまで以上に高い多様性を備えた組織への変革が必要とされます。コロナ禍において加速した新たな手法を取り入れた会議運営をさらに前進させ、誰一人取り残すことのない柔軟で しなやかな組織運営を実現します。また、故郷の「安心と発展」を築く国土の強靭化に本年度もスポットを当て、防災や経済における相互交流を目的とした新国土軸の構想を活性化させる一翼を担うべく、ブロック協議会、地区協議会との連携をさらに強化し、推進に努めて参ります。  出向者の支援、全国から来県されるメンバーへのおもてなし、発信力の強化など、2022年度のJCI大分は多角的な対応力も強く求められます。SNSや全国大会おおいた大会を見据えて2020年度に作られた「ほるにぃ」の活用など、巻き込む力により一層の磨きをかける必要があります。様々な価値観やバックグラウンドを持つメンバーそれぞ れの能力や感性を活かしきることができなければ、柔軟に対応していくことは困難です。新たな組織運営を築くには、変えてはならないものと変えるべきものを見極める英知を持 たねばなりません。決してやみくもなチャレンジを繰り返すのではなく、根拠に基づいた変革を重ねていくことで、真のダイバーシティ組織に近付けます。

2.人財室 ウェルビーイングの推進

 JCの理念を追求することと所属するメンバーの幸福はイコールであるべきと考えます。持続的に発展を遂げる組織の根幹には必ずモチベーションが存在するからです。メンバーがJC活動にやりがいを持つためには、身体的にも精神的にも社会的にも充足された状態を意味する「ウェルビーイング」の推進が不可欠と言えるでしょう。2018年よりJCI日本ではビジネスの機会の提供が定款に刻まれ、メンバーのJC活動に新たな付加価値が生み出されつつあります。社業の発展は、地域経済、ひいては日本経済の発展と複雑に関係しており、長期的に見て社会全体を照らすことのできる希望そのものです。さらに故郷おおいたでは、先端技術や宇宙港への挑戦が人々に夢を語りかけ、新たな産業を生み出そうとしています。IoTやAI、アバターやドローンが実用化されていくことや、宇宙産業の創出は私たちの生活そのものに革新的な発展をもたらしてくれます。このように、社会の発展と私たち自身の幸福には密接な関連があることをまず理解することを前提とし、 それが体感できる組織へと具体的な変化を遂げていかなければなりません。個人の発展と社会への貢献がイコールとなる、真に共感し合える幸福感の創造こそが、今私たちに必要な人材育成の原点であり、会員拡大の礎となります。

3.挑戦室 フェスティバルの構築

 JCI大分には、10代後半から20代前半の若者たちと故郷おおいたの未来について真剣に考える「おおいた活性化ネットワーク」という2010年より受け継がれてきた事業があります。私たちよりもさらに若い世代の感性はLOMやメンバーのみならず今後の故郷おおいたの活性化にも多くの気付きを与えてくれていますが、こうした違う角度からの感性は本年度さらに重要なものになると確信しています。また、大分市では西洋音楽発祥の地ということにちなみ、2008年より「おおいた夢色音楽祭」という催しが行われています。大分市中心街の各所にストリートステージを設置し、様々なジャンルのミュージシャンがライブを行う秋の一大イベントです。本年度全国大会を主管させていただくJ CI大分は、主管LOMが地域のカラーを最大限発揮できる大会ファンクションである‘フェスティバル’において、おおいた活性化ネットワーク事業と、おおいた夢色音楽祭 を結び付けたJCI大分ならではの魅力・活力あふれるフェスティバルの構築に挑戦します。様々なパートナーとの連携を図り、参加いただいたすべての方々におおいたカラー全開のフェスを楽しんでもらいたいと考えます。

4.希望室 「家族」のライフデザインを支援する

 少子高齢化のあおりは子育てと介護が同時期に重なる‘ダブルケア’に直面する世帯数を増加させています。内閣府の調べによるとその約8割は30代~40代の年齢層が占めており、夫婦共働き需要の拡大や、それに伴う職場環境の整備は国民的な課題となりつつあります。また、世界に先駆けて加速する超高齢社会の到来により、高齢者が健康で生きがいを持った生涯現役生活を送るためのサポートも求められています。多子社会の実現にはまず「家族」が未来に安心を見出せなければなりません。身体的、精神的、経済的にも安心のおけるライフデザインを得ることは、出生数の増加にも密接に結びつきます。結婚、妊娠・出産、子育て、仕事、そして介護までを含めた「家族」が抱えるすべての不安に対し、親として、子として、そして青年経済人として真正面から向き合い、情報収集や意見交換を重ねることで様々な解決策を提案し、これからの家族が必要とするライフデザインを支援します。また、ポストコロナを見据えた新しい生活様式の確立が叫ばれる今日において、今後求められる‘まつり’の在り方について市や行政と協議し、「大分七夕まつり 2022」では地域に住み暮らす「家族」が安心して参加することのできる新しいまつりを実践します。

5.第71回全国大会おおいた大会の成功に向けて

 全国大会を主管するということは、地域やLOMに様々な益をもたらします。私たちの創造する運動を大胆かつ大規模に推進することができる最高の舞台が用意されているといっても過言ではありません。大勢の来県者が地域に与える益はもちろんのこと、地域をよく知り、仲間と協力して大会を構築することはLOMにもメンバーにも多くの発展と成長の機会を与えてくれます。様々な大会やイベントがコロナ禍においてイレギュラーを余儀なくされている今だからこそ、青年としての英知と勇気と情熱を以て「第71回全国大会 おおいた大会」を、ポストコロナを見据えた革新的挑戦の礎にします。全国大会の成功は 主催者であるJCI日本をはじめ、ブロック協議会や地区協議会、OB・シニアの先輩方、行政、関係諸団体とのしっかりとした連携なくして実現できません。大会そのものを左右 するといっても過言ではない「素早く正確な情報共有」の要として全国大会特別委員会は 機能します。またキャラバンを先導し、LOMのメンバーに出向の喜びや意義を伝えていくことも大切な役割であると考えます。全国大会おおいた大会を他人事で終わらせてしまわないためにも、地域やLOMに残すべき「益」にこだわり、JCI大分らしさにこだわり、総力を以て万全の準備を行って参ります。

おわりに

「この社会で真に活躍すべきなのは青年である」 100年以上も前に踏み出された一歩は、今なお前進を続けています。 青年ならではの不安感や使命感に世界中の仲間たちが背中を押され、かけがえのない足跡を残し続けています。 目をそらすことのできない様々な課題を、誰かと共有したい。そして解決したい。私もその一心でJCをやっているのだとつくづく思います。 それが正解です。 共感こそが推進力となり、友情を生み、情熱を生み、運動を生むのです。 あなたが抱える不安は、この社会において国の課題、地域の課題そのもの。無駄なことなんてなにもない。もっと仲間と共有しよう。 成功も失敗も苦悩も後悔も、JCにおいてはすべてが前進です。大切なのは「歩みを止めないこと」 世界を劇的に変える一手じゃなく、自己の成長へとつながる一歩を。誰かがちょっとずつ歩を進めれば、JCは大きく進む。 そして世界は少しずつ、着実に良い方向へと変化していく。速度も歩幅もバラバラであることがすばらしい。 今自分にできることを精一杯やってみよう。 歩一歩 明日を今日よりもすばらしく。

FOLLOW US!